撮影のコツ

動画を撮影する際の保存設定とは?【解像度・フレームレート・記録形式】

期待して買ったカメラの動画がなぜかカクカクしていたり、スマホに転送して見ようとしたら再生できなかったなど、動画について疑問を感じたことはないでしょうか。
綺麗で滑らかな動画にするときは保存設定が重要であり、記録形式を変えるだけでスマホやパソコンなど機器を選ばずに再生することもできます。
今回は動画撮影時に重要となる解像度やフレームレート、記録形式について分かりやすく解説します。

 

解像度とは一体なに?

解像度とは、動画の縦×横の画素数(ピクセル数)で表されます。
4K動画を例にすると横3840×縦2160の画素で表現され、実際に掛け算してみると約830万画素の解像度ということになります。
動画も静止画も表示をどんどん拡大していくと、四角いタイルを敷き詰めたようなモザイク柄になりますが、この一つ一つの四角い点が多いほどきめ細かい綺麗な動画になるということです。
静止画の写真ですが、下側の画素数(ピクセル数)を少なくしています。やはり画素数の多い上側が綺麗です。

 

最適な解像度はどのくらい?

動画を再生するパソコンやスマホ、テレビなどには「画面解像度」があり、カメラで撮影する動画の解像度も「画面解像度」に合わせるのがベストです。
解像度の高い動画を撮影しても、再生するモニターの画面解像度が低ければ粗い映像になりますし、逆のパターンではモニター側が本来の実力を発揮できません。
以下の画面解像度は動画によく使われているものなので、ご自身の再生環境と比べてみてください。

画面解像度

480p ・・・ 720×480:アナログ放送のテレビの解像度(SD)
720p ・・・ 1280×720:ハイビジョンテレビの解像度(HD)
1080p ・・・ 1920×1080:フルハイビジョンテレビの解像度(2K/FHD)
2160p ・・・ 3840×2160:超高精細解像度(4K/UHD)
4320p ・・・ 7680×4320:スーパーハイビジョン(8K)

※数字の後の「p」はプログレッシブの意味で、全画面をしっかりと描画することを指します。「i」のインタレースよりもプログレッシブの方が画質が良いのですが、ここでは気にしないで問題ありません。

下へ行くほど解像度は高くなります。
パソコンのモニターには1080pの解像度がよく使われており、FHD(フルハイビジョン)と表記されています。少し前までのスマホには720pが多く使われていましたが、最新機種では1080p以上の解像度に対応するものが増えてきました。動画を撮影するときの解像度の設定は再生環境に合わせておけばよいということですね。

最近はYoutubeに動画をアップする人も増えていますが、Youtubeが推奨している解像度は以下のようになります。

Youtubeの推奨解像度

360p ・・・ 640×360
480p ・・・ 720×480
720p ・・・ 1280×720
1080p ・・・1920×1080

144pや240pという解像度も設定としてありますが、あまり使われることはありません。

 

解像度は高ければいいの?

解像度の高い動画はとても綺麗ですが、高過ぎると色々なデメリットも出てきます。

解像度が高いことによるデメリット

①動画の容量(ファイルサイズ)が大きくなる
②ストレージの空き容量が足りなくなる
③長時間の動画撮影ができなくなる
④編集に時間がかかってしまう
⑤通信料が増えてしまう

まず動画のサイズがとても大きくなってしまい、直ぐにストレージ(動画を保存する場所)が一杯になってしまいます。
またSNSなどネットにアップロードするときにも転送に時間がかかってしまい、通信量も増えてしまいます。
動画に文字を埋め込んだり明るさを調整する編集でも時間がかかってしまうため、綺麗な反面少し扱いづらくなってしまいます。
8K動画を撮影できる最新のムービーカメラでも、再生機器がハイビジョン画質であればあまり意味はありません。

動画の解像度は撮影対象によって変えることも必要であり、例えば春の桜や秋の紅葉を鮮やかに撮影したいときは1080pのフルハイビジョン画質が向いていますが、動きが少なく画質が重要視されないセミナー動画などは720pのハイビジョン画質で十分です。
撮影目的や利用用途に応じて解像度も変更しましょう。

 

フレームレートを理解しよう

動画の原理というと複雑そうに感じますが、実はパラパラ漫画と同じです。
何枚もの静止画を連続再生しているのが動画ということになり、枚数が多ければ多いほど動きもなめらかになります。
フレームレートとは1秒間に何枚の静止画(コマ数)を再生するのかを表すものであり、FPS(frames per second)という単位を使います。

 

動画のフレームレートにはどんなものがある?

よく使われているフレームレートには24fps、30fps、60fpsなどがあり、テレビを例にするとニュースやバラエティ番組は30fpsが多いようです。
次によく使われるのが60fpsであり、動きの激しいスポーツ番組に使われています。
60fpsではスロー再生してもなめらかな映像になり、サーフィンの水しぶきなどもスムースな動きで再生できます。

では「24fpsはカクカクして見づらいの?」というとそうでもなく、実は映画に使われているフレームレートは殆ど24fpsです。
24fpsということは1秒間に24枚の静止画を切り替えている訳ですが、人間の目にとってもっとも自然に感じるのがこのフレームレートです。
24fpsには臨場感を出す効果もあるため、映画の定番フレームレートになっているという訳です。

フレームレートもカメラ本体の設定から変えることができ、「記録設定」や「録画設定」といったメニューから選択するようになっています。
最近では120fpsに対応するカメラもありますが、どのフレームレートを選ぶかは動画のジャンルやどう編集したいのかによって変わります。
再生スピードが一定であれば24fpsや30fpsで十分ですが、スロー再生にしたい場合は60fpsで撮影した方がよいでしょう。
24fpsで録画した動画を半分の速度でスロー再生すると、1秒間あたりのコマ数も12コマになり、カクカクした不自然な映像になってしまいます。編集でスローモーションを入れたい場合は最初から60fpsで撮影しておくのがおすすめです。

 

フレームレートと画質やファイルサイズの関係

ここまで読まれた方は気付いておられるかもしれませんが、フレームレートが高くなるほど動画の容量(ファイルサイズ)も大きくなります。
高いフレームレートほど1秒間あたりの静止画枚数も増えるため、必然的に動画の容量も大きくなるということです。
また高いフレームレートは画質(解像度)にも影響してきます。
フレームレートを高くするとなめらかな動きになりますが、1コマ(フレーム)あたりのデータサイズを落とすことになるため粗い映像になってしまいます。

動画の容量が同じであればフレームレートを高くするほど画質が下がるという訳です。
またパソコンやスマホなども60fpsでの再生が限界なので、120fpsで録画するメリットはあまりないといえます。(スローモーション編集でコマ数を落とす場合は別です。)
ちなみに最近販売されているゲーミングモニターは60fps以上のフレームレートを再生することができます。

 

記録形式が分かれば再生は思いのまま

どんな動画でも再生できなければ意味がありません。
しかし記録形式にはかなりの種類があるため、何を選んでよいのか分かりづらくなっています。
また編集しやすい記録形式やライブ配信に向いているものなど特徴も様々なので、録画後の用途を考えながら選ぶことになります。

 

主な記録形式と特徴

動画の記録形式の違いは、例えるなら日本語と英語くらいに違います。
種類もかなり多いのですが、実際に使われている記録形式はある程度限定されています。
現在の主流となっている記録形式とその特徴は以下のようになります。

 

①テレビで再生するなら「AVCHD」

AVCHDはフルハイビジョン映像を記録する形式であり、DVDやブルーレイに記録しておけば再生に対応したテレビで手軽に動画を見ることができます。
子供やペットの成長記録を家族で見るといった場合には便利ですが、パソコンやスマホでの再生はできません。
AVCHDはソニーとパナソニックが登録商標を共有する形式であり、両社ともビデオカメラとスマホを開発していますが、AVCHD形式はどちらのスマホでも再生できないようになっています。
専用ソフトをインストールすればパソコンでも再生や編集はできますが、使い勝手のよさという面ではデメリットの多い記録形式です。

 

スマホやパソコンには「MP4」

ウィンドウズやMac、スマホで普通に再生することができ、Youtubeなど殆どの動画共有サイトでも対応している記録形式です。
色々なデバイス(再生機器)で見たい場合にはおすすめの形式であり、編集ソフトもかなり充実しています。
ただし使い勝手がよい反面画質を犠牲にしているところがあり、大容量の高画質動画には不向きともいえます。

 

③Apple社製品と親和性の高い「MOV」

Appleが開発した動画の記録形式なので、MacやiPhoneといったAppele製品であれば再生・編集は問題なくできます。
ウィンドウズの場合、QuickTime Playerがインストールされていれば再生可能ですが、動画の圧縮形式によって専用のコーデックを用意する必要があります。(※圧縮やコーデックについてはこの後解説します。)
MOVはAppleの標準ともいえる形式ですが、動画共有サイトやSNSでは対応していないため、Web用に使いたい場合は他の記録形式へ変換することになります。

動画の記録形式は他にも沢山ありますが、スマホやデジタル一眼などで撮影する動画は上記のどれかになっていることが殆どです。

 

コーデックってなに?

フレームレートの部分で説明しましたが、動画の原理はパラパラ漫画と一緒であり、沢山の静止画を連続再生しながら映像を動かしています。
しかしそのままの状態ではかなり容量が大きいため、圧縮して動画を記録しています。
圧縮の際に使われるのがコーデック(Codec)であり、少し難しい言い方ですが「圧縮・伸張用のツール」といえます。
現在「H.264(MPEG-4 AVC)」というコーデックが多く普及しており、Youtubeなどの動画サイトでも使われています。
圧縮率が高いと画質の低下に繋がってしまいますが、H.264は高圧縮でも画質がよく汎用性も高いので、スマホやパソコンなど幅広く使われています。
ちなみに音声ファイルにもコーデックがあります。
もっとも有名なMP3は多くの人が聞いたことがあるのではないでしょうか。

コーデックにも色々な種類がありますが、重要なのは再生側の機器にも同じコーデックが入っているかどうかです。
あまりメジャーではないコーデックで圧縮すると再生できなかったり、音だけ聴こえるといった状態になってしまいます。
また圧縮率の高いものは再生機器に負荷もかかるため、最適なフレームレートを選んだのにカクカクしてしまうこともあります。

 

まとめ

動画の保存設定には色々なアレンジがあり、何を優先するかで設定も変わります。
閲覧環境や編集環境など、目的によって解像度やフレームレート、コーデックを選んでみてください。



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  • この記事を書いた人

酒井としあき

ハメ式編集部 編集長 ハメ撮り歴12年。ハメ撮りは観るのも撮るのも大好き。カメラや動画編集にも凝っています。

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