ハメ撮りを自分で楽しむ分には問題ないですが、他の人に見せる場合や許可を取って公開する場合などは、モザイクを使うことになるかと思います。
この記事では、Adobe Premiere Proにおけるモザイクの基礎的な手法から高度な使い方までをひとつひとつ解説していきます。
(当記事のPremiere Proのバージョンは、執筆日の2021年3月7日時点での最新版であるバージョン14.9.0を使用しています。その他のバージョンでは細かな差異があるかもしれませんのでご了承ください。)
モザイクの追加方法
まずは一番簡単なシチュエーションである、カメラも静止しており被写体も動いていない状態の映像にモザイクを適応する方法を解説していきます。
任意のプロジェクトを開くか新規プロジェクトを作成してタイムラインに動画が1つ以上並んでいる状態にします。
次に、『エフェクト』のパネルの『ビデオエフェクト』の中の『スタイライズ』の中に『モザイク』というエフェクトがあるのでそれをタイムラインの動画クリップに直接ドラッグ&ドロップします。
そうすると画面全体にモザイクがかかった状態になります。
部分的にモザイクを調整するためにはモザイクをかけたタイムライン上のクリップをダブルクリックして、『エフェクトコントロール』のタブの『fx モザイク』の欄で細かなパラメーターの調整が可能です。
まずはモザイクの範囲を変更してみましょう。
『fx モザイク』のすぐ下に3つの丸と四角とペンのようなアイコンが並んでいる中から丸をクリックしてみます。
そうすると、モザイクが画面中央の部分に丸形に切り取られます。
周りに青い線がありますが、この線を『パス』と呼びこの形を変えることで好きな場所に好きな形でモザイクをかけることができます。
パスの概念や使い方はIllustratorやPhotoshopに詳しい方であれば馴染みがあると思いますが、現段階ではどの範囲にエフェクトをかけるかの境界線とご理解頂ければ十分かと思います。
モザイク自体の場所は、モザイクのかかっている部分をドラッグ&ドロップすることで上下左右に移動が可能です。
また、パスの四隅に小さい四角のアイコンが見えますが、これらをドラッグ&ドロップすることで丸のパスの形自体を変更することが出来ます。
モザイクのマスクの主要なパラメーターを解説していきます。
『マスクの境界のぼかし』の数字の部分を左右にドラッグするとモザイクの外側の境界線のぼかしをなめらかにすることが可能です。逆に0にすると境界線が完全に分かれた状態となります。
『マスクの不透明度』では、数値を100%より下に下げていくことでモザイクのかかる薄さを調節することが出来ます。
モザイクの代わりにブラーを使用する
Premiere Proのモザイクのエフェクトをもう少し柔らかくする表現方法として『ブラー』という別のエフェクトを使用する方法もあります。
モザイクの時と同様に、『エフェクト』のパネルの『ビデオエフェクト』の中の『ブラー&シャープ』の『ブラー(ガウス)』を任意のタイムライン上のクリップにドラッグ&ドロップします。
モザイクのエフェクトの時とは違い、ブラーをドラッグ&ドロップ下だけでは見た目は変わっていないと思いますが、『エフェクトコントロール』のタブの『fx ブラー(ガウス)』の中のブラーの値をあげていくことで画面全体がぼやけてきます。
範囲の選択もモザイクと同様、『fx ブラー(ガウス)』のすぐ下の3つの丸と四角とペンのようなアイコンが並んでいる中から好きな形を選択すればその形の中にブラーが適応されます。
パスの変更方法もモザイクと同様です。
複数のクリップにモザイクを追加する方法
こちらもカメラも被写体も動いておらず、モザイクの位置は固定の場合となりますが既にカット編集をした状態で一つ一つのクリップにモザイクやブラーを入れていくのは時間と手間がかかります。
そこで、『調整レイヤー』という方法を使って一度に複数のクリップにモザイクの効果を適応する手法を紹介します。
まずは、動画クリップなどを管理しているプロジェクトのエリアの空欄部分を右クリックして「新規項目」から「調整レイヤー」を選択します。
調整レイヤーがひとつ加わっているのでそのクリップをタイムライン上のモザイクをかけたいクリップの上のトラックに乗せます。
この調整レイヤーの主な役割と使い方は、調整レイヤーより下のトラックにあるクリップ全てに調整レイヤーに適応されているエフェクトが自動で付加されるという使い方によっては大変便利な機能です。
実際に調整レイヤーにモザイクかブラーのエフェクトをドラッグ&ドロップして、同じ要領で範囲をマスクパスで選択します。
あとはモザイクをかけたい範囲を調整レイヤーのクリップの長さを変えることでひとつひとつのクリップを操作することなくモザイクを一気にかけることが可能です。
モザイクだけではなく色補正などにも使用できますので調整レイヤーは積極的に使ってみることをおすすすめいたします。
モザイクを被写体に追従させる方法
ここからは応用編です。
カメラが動いていたり被写体が動いている場合は、モザイクを被写体にあわせて移動させなくてはいけません。
以前は1コマごとに処理していくような非常に手間と労力がかかる作業でしたが、ここ数年の技術の進歩である程度は簡単に処理ができるようになりました。
Premiere Proでは被写体を自動で追従してくれる機能が備わっておりますのでそちらを使用した追従方法を解説したいと思います。
まずは、モザイクを適応したクリップをダブルクリックして、『エフェクトコントロール』のタブの『fx モザイク』(ブラーの場合はブラー)の『マスク』以下の『マスクパス』の行に矢印のアイコンが4つと一番右側にレンチの用なアイコンがあることを確認してください。
まずは、レンチのアイコンをクリックして 「位置、スケール、回転」にチェックが入っているかを確認します。
その次に、左から3つめの順再生のアイコンをクリックすると追従処理が開始されます。
この処理には動画クリップの長さやファイルのフォーマット、マシンのスペック等で長くかかることもあります。
処理が完了したらタイムラインの動画を再生してモザイクがうまく被写体に追従しているかを確認します。
動画の内容によってはたまにモザイクの位置が外れてしまうことがありますので、手動で修正する方法を解説いたします。
タイムラインの再生バーを修正したい箇所に合わせた状態で、『エフェクトコントロール』のタブの『fx モザイク』の『マスク』の下の『マスクパス』をクリックして、選択ツール(キーボードショートカットはV)を選択してプレビュー画面上のモザイクのマスクパスを直接ドラッグして正しい場所に合わせます。
そこから先も外れ続けているようであれば、キーボードの左右の矢印キーで1コマずつ進んだり戻ったりが出来るので被写体から外れているモザイクのマスクパスをひとつひとつ修正していきます。
一見地道な作業に思えますが、ゼロの状態から1コマずつ位置を調整していくよりははるかに楽で速いと思います。
この自動追従の機能ですが、同じAdobeのAfter Effectsというソフトがより高機能な追従性能を持っていたりパラメーターの自由度が高かったりしますのでPremiere Proよりもやや難解なソフトではありますが、興味のある方は是非チャレンジしてみてください。
まとめ
この記事では、動画の中で隠したい部分にモザイクをかける方法を解説しましたが、同じ技術の応用で任意のイラストを好きな場所に配置したりそのイラストを追従させるようなことも可能ですので、同じ技術であっても様々な使い方があることを知っていただきご自身の動画の編集をより良くするために実践してみてください。