ハメ撮りを始めると、ハメ撮り動画の編集にも興味が出てくるのではないでしょうか。
しかし、動画編集ソフトを導入して本格的に動画編集をはじめようとしたものの、PCのスペック不足で作業が重かったりファイルの書き出しに時間がかかるなど不便な思いをしている方も多いかと思います。
新しいPCを購入したり自作することを検討して調べても大量のモデルやパーツ構成の選択肢があってどれが最適なのかがわからないこともあるでしょう。
この記事では、動画編集に関わるPCのパーツの役割やおすすめの構成を紹介します。
目次
PCの基本となる4つの構成要素
PCを構成するメインの4つの要素として、CPU、メモリー、ストレージ、グラフィック性能があります。
CPUとメモリー、ストレージに関しては、良くある例えですが人間が机に座って作業をしている状態を想像してみましょう。
CPUは人間の脳、メモリーは机の面積、ストレージは机の引き出しの容量です。
人間の脳が速ければ仕事の処理が速くなり、机の面積が広ければ一度に置ける書類の量が増えるので同時に行える作業が多くなり、机の引き出しがたくさんあるとたくさんの書類を保存しておけます。
すなわち、PCではCPUは計算などの処理能力で、メモリーは一時的に開けるファイルやソフトの量で、ストレージは保存できるファイルの容量と考えればわかりやすいと思います。
グラフィックス性能に関しては、映像や写真の描画の速度に深く関わってきます。
次のセクションでは実際にどのような構成のモデルやパーツが動画編集にふさわしいのかをそれぞれ1つずつ紹介していきます。
CPUの種類と違い
CPUはPCの脳にあたる部分で、動画編集だけではなくPCそのものの処理速度に直接影響するパーツのため一番こだわるべき、かつ選択肢と値段の違いがたくさんある要素です。
主要なラインアップは2つあり、Intel社の『Core i』シリーズとAMD社の『Ryzen』シリーズの2つのパターンから選びます。
Core iシリーズは、それぞれCore i3、Core i5、Core i7など、数字が大きくなるほど処理能力は上がりますがその分値段も高くなります。
Ryzenシリーズも、Ryzen 3 3300X、Ryzen 5 5600X、Ryzen 7 5800Xなど、こちらも数字が大きくなるほど処理能力が上がり値段も高くなります。
CPUにはさらに「クロック」「コア」「スレッド」という3つの概念があります。
クロックは「周波数」とも表されますが、よく見かける「GHz(ギガヘルツ)」値がこのクロックです。クロックの値が高くなるほど処理能力が上がります。
コアは1つのCPUの中に複数の脳があるものと考えていただければわかりやすいと思います。
4コアと8コアでは8コアの方が同時に処理できるタスクが増えます。
スレッドの値は少々わかりづらいかもしれませんが、1つのコアをあたかも2つあるかのようにPC自体に認識させる機能です。例えば「4コア8スレッド」と表記があった場合には、PCは4つのコアを8つとして認識するため同時に並行できる作業が増えます。
100%ではありませんが、これらの「クロック」「コア」「スレッド」の値が大きいほどPC自体の全体の処理能力と並行できる処理数が多くなります。
ただし、1つ注意しておかなければならない点があります。
先程記載した内容と矛盾しているように思えますが、例えばIntel社の『Core i』シリーズではCore i5よりCore i7の方が必ずしも処理能力が高いというわけではないことです。
CPUにはいつ発売されたかによって世代という概念があります。
つまり、旧世代のCore i7よりも新世代のCore i5の方が処理能力が高いということがあり得るのです。
この辺りはWEB上に性能比較の情報があるため、そちらを参考にするとよいでしょう。
私のおすすめは、ドスパラのCPU性能比較ページです。
Intel社とAMD社でそれぞれのページがあるため、参考情報としてリンクを載せておきます。
メモリーの種類と違い
メモリーは机の面積のようなものと例えましたが、仮にCPU(脳)が高性能でもメモリー(机の面積)が十分でないとCPUの性能を引き出すことができません。
PCのスペック欄には8GB(ギガバイト)や16GBなどと表記されていることが多いですが、他にもメモリーの「世代」と「動作周波数」という値が重要です。
世代は、「DDR3」や「DDR4」など値の大きいものが新しい世代で性能が上がり、動作周波数は2666Mhz(メガヘルツ)や3200Mhzと表記され、こちらも値が大きいものが性能が高くなります。
一般的には「DDR4 - 3200」などと記述されているケースが多いです。
そのため、古いPCの8GBのメモリーと最新のPCの8GBでは同じ数字に見えますが、実際の処理能力には違いがあります。
ストレージの種類と違い
ストレージは机の引き出しに相当する部分ですが、ストレージの読み書きのスピードが遅いといくら机の面積(メモリー)があっても仕事全体の効率は良くなりません。
以前はHDD(ハードディスク)というレコードのような円盤を物理的に回転させてデータの読み書きをするタイプのストレージが主流でしたが、ここ数年はSSD(エスエスディー)という高速で衝撃にも強い記憶媒体が主流です。
SSDのデメリットをあげるとすれば、HDDよりも保存容量あたりの単価が高いことですが、一度SSDの速度を体感してしまうとHDDに戻る気にはならないでしょう。
さらに高速な記憶媒体として、「M.2(NVMeと表記されることも多いです)」というタイプのストレージが普及しつつあります。
全ての映像データなどをSSDやM.2に収めようとすると相当な金額になってしまうため、OSなどの主要なデータをSSDなどに格納し、大容量のデータだけをHDDに格納するような使い分けが必要となってきます。
グラフィック性能に関して
グラフィックス性能に関しては詳しく触れていませんでしたが、映像の編集においては非常に重要なパラメーターとなります。
簡単に解釈すると映像や写真などの描画に特化したCPU(脳)ととらえるとわかりやすいかもしれません。
スペックの欄には、「GPU(ジーピーユー)」や「グラフィックボード」と記述されているのが一般的です。
値としてはメモリーと混同してしまいそうですが、「4GB」「8GB」などと表記されています。
値が大きいものが処理能力高くなりその分価格も高くなります。
GPUはNVIDIA社の「GeForce」シリーズか、AMD社の「Radeon」シリーズの2択となります。
こちらもドスパラの比較ページが参考になるため、是非一度見てみてください。
ベンチマークで各パーツの性能をチェックする
PCのパーツを調べる上で有用なのが「ベンチマーク(Benchmark)」という概念です。これは一定の同じ条件で違うCPUやグラフィックボードを動かした結果の数値を比較した結果を表したもので、例えば同じ動画のファイルの書き出しにかかった時間を比べる際などに良く使われます。
同じ8GBのグラフィックボードでもNVIDIA社のモデルとAMD社のモデルを比較した結果を知りたい場合など、個人でYouTubeの動画やブログなどに掲載してくれている方がたくさんいるので詳しく知りたい方は是非検索して知識を深めてみましょう。
また、映像編集においては同じグラフィックボードでも編集ソフトによってベンチマークの結果が違うということが多くの動画やブログで解説されています。
そのため、現在メインで使用している動画編集ソフトやこれから使っていくであろう動画編集ソフトにおいてベンチマークの結果が良いパーツをチョイスすることも年頭にいれておいた方が良いでしょう。
これは予備知識となりますが、DaVinci Resolveの有料版であるDaVinci Resolve Studioというソフトでは複数のグラフィックボードを同時に認識させて使うことができるため、2つ以上のグラフィックボードを搭載させて同時に使用したり、ノートパソコンと繋げて使用することを目的とした「eGPU」と呼ばれる外付けのグラフィックボードを使用することも可能になります。
複数のグラフィックボードを同時に認識させて使用することで、非常に高いパフォーマンスを得ることが可能です。
副次的なメリットとしては、16GBのグラフィックボードを1つ購入するより8GBのグラフィックボードを2つ購入する方が安いパターンが多いため片方が故障した場合にもリスク分散になります。
映像に最適なパーツ構成
CPU、メモリー、ストレージ、グラフィック性能の4つを解説しましたが、このセクションでは実際にどのような組み合わせが良いかを用途別に紹介していきます。
まずは自分がどのような映像を編集したいかを想像してみてください。
スマートフォンなどで撮影したデータを編集するのか、プロの現場で使われているような専門のビデオカメラで撮影した特殊で大容量のデータを編集するのかでも必要な構成は全く違ってきます。
まず、前者のような比較的カジュアルな編集作業の場合は、自分で全てのパーツをリサーチして購入して組み立てるのはかなり時間とお金がかかるため、おすすめとしてはいわゆる「ゲーミングPC」というジャンルのPCが最適です。
「ゲームと映像編集は関係ないだろう」と思った方も多いと思いますが、最近のPC向けのゲームタイトルはCPU、メモリー、ストレージ、グラフィック性能の4つがそれぞれそれなりのスペックを対象に開発されていることが多いため実は映像編集に必要な性能とかなり似通ったPCが低価格で手に入ります。
実際にゲーミングPCという単語で検索するとたくさんのモデルが様々な会社から数多く発売されていることがわかると思います。
ゲームに特化しているカスタマイズ機能が豊富なキーボードやマウスなどがセットになっているものもありますのでその機能を映像編集ソフトの良く使うキーボードショートカットなどにカスタマイズして使うようなことも有用でしょう。
WindowsのOSがXPの頃などは自分でパーツを購入して組み立てて、年数が経ってスペック不足を感じた際に必要なパーツを交換して寿命を延ばすことはコストパフォーマンスの面から見ても多くの人が経験していたかと思いますが、近年のスマートフォンやデジタルカメラのようにPC自体も性能の変化が著しく買い替えのサイクルも短くなってきているため、あらかじめ組み立てられていて電源を入れればすぐに使えるタイプのPCを購入する方がリスクも手間も少ない時代になってきました。
例えばグラフィックボードを新しく交換しようとして購入したとしても、「ドライバー」と呼ばれるパーツをPCに正しく認識させるためのツールをグラフィックボードを開発している会社のHPから正しいモデルを検索してダウンロードしてインストールすることが必要なので、PCの操作は問題なくてもOSの裏側の部分はあまり得意ではないという場合もやはり自作よりは組み立てられた状態のPCを購入する方が無難です。
ゼロから自作する場合ですが、数年前と比べてパーツの選択肢が多いことと端子の形状や形式が増えたこと、さらにはパーツ同士の相性なども考慮する必要があるため事前のリサーチは可能な限りしておくことをおすすめいたします。
マザーボードが本体のケースの大きさと合わなかったり、パーツの合計の必要な電力が購入した電源よりも大きかったりといった想定外のトラブルが起こる可能性をなるべく減らすために各パーツの細かいスペックや端子、組み上げに必要な工具などを全てテキストや表にして書き出して随時チェックするようにしましょう。
また、自作の場合はOSも購入しなくてはいけませんのでそこも予算面で年頭にいれておく必要があります。
動画編集に必要なソフト類
主にハード面の解説をしてきましたが、ソフトの面も少しだけ解説したいと思います。
最近のソフトは動画編集に限らず「サブスクリプション」という形式のライセンスが月額や年額の課金制に設定されているものも数多くあります。
代表的な会社としてはAdobeがそのパターンですが、現在はソフトのライセンスの買い切りの選択肢はなく、全てサブスクリプション制となっています。
使用できるソフトによって価格のパターンはいくつかありますが、毎月のコストはそれほどではないと感じても1年を通すと12倍になるのでそれなりの額になります。
また、サブスクリプションを解除するとソフトが使えなくなるので過去のプロジェクトデータを開くことができないというデメリットがあります。
動画の編集だけであればPremiere Proで足りますが、サムネイル画像をしっかり作成したければPhotoshopが使いたくなるでしょうし、凝ったアニメーションなどを作成したければAfter Effectsも必要になってきます。
PCだけではなくソフトも本格的に乗り換えようと検討している方はPCの本体だけではなくソフトに関するコストもあらかじめ計算にいれておいた方が良いと思います。
まとめ
この記事では動画編集に関するPCの主要なパーツとその役割や組み合わせを解説しました。
この記事を読んでさらに詳しいことを知りたくなった方は国内外問わず様々な情報を集めてご自身の動画編集環境をより良いものにしていただければ幸いです。
また、これから動画の編集を始めたくなったという方がいらっしゃれば是非新しい一歩を踏み出してみてください。