YouTubeを始めとした動画サービスに自分で撮影編集した動画を気軽にアップロードできるようになり、本格的な動画編集ソフトを導入して編集にも力を入れる方も年々増えてきています。
動画の重要な要素として文字情報があります。
世の中の一般的なハメ撮り動画ではテロップを入れているものは少ないですが、文字情報を入れてみることでYoutube風の動画に仕立て上げる等、今までとは違った楽しみ方もできるようになります。
今回はAdobe Premiere Proでテロップ等の入れ方を簡単なものからある程度高度なものまで順を追って解説していきます。
(当記事のPremiere Proのバージョンは、執筆日の2021年3月7日時点での最新版であるバージョン14.9.0を使用しています。その他のバージョンでは細かな差異があるかもしれませんのでご了承ください。)
Premiere Proのテロップの追加方法
まずはPremiere Proにおける一番簡単なテロップの追加方法を紹介いたします。
矢印ツールなどのツールの選択エリアの 「T」のアイコンがテロップのツールです。アイコンを長押しすると横書きか縦書きかを選択できる小さなメニューが表示されます。
キーボードショートカットは「T」です。TextのTと覚えておくと便利です。
このテロップツールを選択した状態で、タイムラインの文字を入れたいところで再生を止めて動画のプレビュー画面内の任意の場所をクリックすると文字を動画上に直接入力できる状態になります。
好きな文字を入力すると文字がそのまま動画に反映されます。
タイムライン上には「fx」という小さな文字がついたピンクのクリップが追加されているのがわかると思います。
テロップのパラメーターを変更するには、ツールエリアの矢印ツールを選択した状態で先ほど入力したテロップを一度クリックするか、タイムライン上にあるピンクのテロップのクリップをダブルクリックして、 『エフェクトコントロール』の中の小さな目玉のようなアイコンに「テキスト」と表示されている小さな三角のメニューを展開するとパラメーターが表示されます。
また、『エッセンシャルグラフィックス』のウィンドウからも同じ操作が可能です。
エッセンシャルグラフィックスのウィンドウが見つからない場合は、Premiere Proの一番上のメニューが並んでいる部分の『ウィンドウ』の『エッセンシャルグラフィックス』を選択すると表示されます。
エフェクトコントロールとエッセンシャルグラフィックスではパラメーターの並びの順番が少々違いますが、項目は同じなのでエフェクトコントロールのパラメーターの順番に沿って解説していきます。
まず一番上はフォントを選択する部分です。フォントの部分をクリックするとドロップダウンメニューが表示され、現在PC内にインストールされているフォントがずらっと並んで表示されます。好きなものを選択するとフォントが置き換わります。
フォントを選ぶ際に左側に星形のアイコンがありますが、これをクリックするとお気に入りのフォントとして登録することができ、フォント選択画面の『フィルター』の星形のアイコンをクリックすると星をつけたフォントだけが表示されるようになるので良く使うフォントは星形アイコンを押して登録しておくことをおすすめします。
フォント名の下の『Regular』と表示されている部分はフォントのバリエーションを選択できます。フォントにもよりますが、イタリックなどの選択肢が用意されているフォントなどはここでバリエーションを変更できます。
その右側のバーの上に丸のアイコンが乗っている部分はフォントの大きさを変更するパラメーターです。右側にスライドすれば文字が大きくなり左側にスライドすれば文字が小さくなります。
その下のエリアは一般的なテキストエディタにあるテキストの整形の調整パラメーターとなります。
『アピアランス』のエリアでは、テキストの色や背景などの装飾をコントロールするパラメーターがいくつか用意されています。
一番上の『塗り』の左側はデフォルトでは白ですがクリックすると『カラーピッカー』という色を選択できるウィンドウが開きますのでここから好きな色に変更が可能です。
塗りの下の『境界線』では、テキストの外側に縁を付け加えることができます。
チェックボックスにチェックを入れてカラーピッカーから任意の色を選択し、青い小さな数字の数値を上げることで縁が太くなります。YouTubeなどでよく見かけるテキストがこれで作成可能です。
縁を太くするとスタイリッシュさという部分では欠けますが視認性が良くなるのでアップロードするサービスや視聴者に合わせたスタイルを模索してみてください。
『背景』のパラメーターでは文字通りテキストに背景を付け加えることができます。チェックボックスにチェックを入れてカラーピッカーから任意の色を選択すると背景が加わります。
映像の用語では『座布団(ざぶとん)』と呼ばれることが多いです。
下にある2つのスライダーは、1つめは透明度(背景の薄さ)で2つめが背景の面積を変更するパラメーターとなっています。
テキストの位置の変更は主に2通りで、1つめはアピアランスのエリアの下の『トランスフォーム』の『位置』から変更することができます。
数値は2つありますが、1つめはX軸(左右)で2つめはY軸(上下)となっています。
または、ツールエリアから矢印のアイコンの選択ツール(キーボードショートカットはV)を選択してプレビュー画面のテキストをそのままドラッグ&ドロップすることで自由に場所を変更できます。
はじめのうちはこちらの方法が簡単かもしれません。
高度なテロップの追加方法
次のステップとして、少し凝ったテロップが作成できる手法を解説いたします。
Premiere Proの「ファイル」- 「新規」- 「レガシータイトル」を選択すると、『新規タイトル』というウィンドウが開きます。
ビデオ設定の部分は現在のプロジェクトの設定がそのまま引き継がれているのでそのままの数値で問題ありません。
名前の欄は、テロップが増えた時にどれがどれなのかわからなくなる可能性があるので始めのうちに自分でわかりやすいファイル名を決めるようにしておくと後々整理が楽かと思います。
OKボタンを押すとテロップを作成する専用の画面が新しく表示されます。
それぞれのパネルの大きさはご自身のディスプレイのサイズに合わせて見やすいように調整してください。
文字を入力するには、ツールのアイコンが並んでいる部分のTというアイコンを選択します(横書き文字ツール)。Tの左側に下向きの矢印が付いているアイコンは縦書き用です。
Tのツールが選択されている状態で映像の画面の任意の箇所をクリックするとそのまま文字が入力出来ます。ここは先ほど解説したテロップの追加方法と同じ挙動です。
文字列を入力できたらESC(エスケープ)キーで決定します。
テロップの細かな装飾は右側のエリアの『レガシータイトルプロパティ』に並んでいます。
最初のテロップの追加時には無かったパラメーターとしては、「塗りの種類」という欄にいくつかの選択肢があることです。例としてグラデーションがあり、より高度な色の表現が可能です。
グラデーションの細かな表現方法は調整が少々難しいですが、PhotoshopやIllustratorなどのチュートリアル記事などを参考にするとより理解が深まると思います。
最初のテロップのツールで境界線と呼ばれていた縁をつけるパラメーターはレガシータイトルプロパティの『ストローク』という箇所にそれぞれ内側と外側の境界線を加えるパラメーターとして存在しています。
内側を選択すると元々入力していた文字が補足なってしまうので、通常は外側のスタイルを使用することが多いと思います。
『影』のパラメーターはPhotoshopやIllustratorのドロップシャドウと同じものです。
チェックを入れて色を選択するとテキストに影が落ちたような効果を付加することが出来ます。
角度や距離のパラメーターを調整することで距離感などを自由に変更することが可能です。
一通り文字の装飾が終わったら、『レガシータイトルスタイル』のエリアのタブの小さな白い横向きの3本線のアイコンをクリックするとドロップダウンメニューが表示されますが、その中の『新規スタイル』を選択して自分で覚えやすい名前を付けると下のエリアに保存した文字の装飾の情報がひな形として保存され、今後は文字を入力した後にこのサムネイルアイコンをクリックするだけで装飾の情報が復元されます。
いくつかお好みのパターンをあらかじめ用意しておくと後々便利かと思います。
また、こちらのレガシータイトルの特徴としてはテロップの文字列を複数個配置ができることが利点です。
例えば左上は動画のセクションのタイトルを表示しつつ、下には解説の文字を入れるなどのパターンをひとつの画面で一度に行えるのがメリットです。
ちなみに、デフォルトの状態だとプレビュー画面に白い枠が2つ表示されていますが、内側の方が『タイトルセーフ』と呼ばれる枠で、テロップなどの文字情報はこの中に収めることを推奨するという主にテレビ番組などの決まりごとですが、YouTubeなどの動画の全部の画面が表示されるサービスなどではそこまで厳密にしなくても良いのではないかと個人的には考えています。
テロップができ上がったらウィンドウを閉じますが、このままではテロップがプレビュー画面には表示されません。
ビデオクリップなどを置いているプロジェクトエリア内に作成したテロップのファイルがあるのでそのファイルをタイムライン上の表示させたい箇所にドラッグ&ドロップします。必要であれば長さも調節しましょう。
テロップを効率的に追加する方法
Premiere Proにおけるテロップの追加方法を2種類解説しましたが、どちらの手法でも大量のテロップを作成して打ち込むのは大変時間と手間がかかる工程です。
そこで筆者が実際に行っている時短術を紹介いたします。
まず、タイムライン上に配置されたテロップのクリップを、alt(Macであればoption)を押しながら別の場所にドラッグ&ドロップします。すると元のクリップと同じクリップが別の場所に複製されます。
これをダブルクリックして編集することで簡単にテロップを複製編集することが可能です。
まずはテロップを配置したい場所に一気に複製してから後で文字を変更しても良いですし、一度複製して文字を変更の繰り返しのどちらでも問題ありません。
ちなみにこの複製方法はテロップだけではなく、通常のビデオクリップにも使える手法ですので積極的に使ってみてください。
もう一つファイルの整理方法ですが、テロップを大量に複製するとプロジェクトの管理画面に数多くのファイルが散逸してしまいどれがどれなのかわからなくなってしまうことも起こり得ます。
筆者の場合ですが、プロジェクト画面の空欄部分を右クリックした時のドロップダウンメニューないに『新規ビン』というフォルダのようなものを作成することができるので、「Video」、「Sound」、「Text」のようにいくつかのビンを作ってからカテゴリーごとに仕分けをして整理する癖をつけています。
まとめ
単にテロップと一言で表現しても様々な手法や表現があります。
最近のYouTubeの動画では、話していること全てを書き起こしているものもありますし、複雑な専門用語などの補足に使うなど役割は多種多様です。
映像においての文字情報は大変重要な役割を担っているので伝えたいことを視聴者にいかに効率よく伝えられるかを常に頭に置いておきながら編集作業をすることをおすすめいたします。