動画の撮影機器は全てビデオカメラといえますが、ルーツはハンディタイプのビデオカメラです。デジタル化から20年以上の歴史があり、子どもの運動会や家族旅行の思い出など、現在もさまざまなシーンで活躍しています。
そのビデオカメラですが、実は今が一番の買い時になっています。機能の進化とともにプライスダウンも進んだため、少し前までは考えられなかったような機能が低価格で提供されています。今回はビデオカメラの機能や特徴について解説し、おすすめの最新機種も紹介します。
目次
ビデオカメラの特徴
動画の撮影機器は多様化しており、アクションカムやスマートフォンなどの手軽さ重視、レンズやセンサーの性能を活かしたデジタル一眼派など、好みによって使い分けられています。
しかし、アクションカムなどのカメラはコンパクト設計のためハード的な余裕が少なく、デジタル一眼を片手で扱うには少々無理があります。ビデオカメラは双方のデメリットを解消しており、ある程度の小型化も進んだため、ビデオチャットやライブ配信など室内撮影用のカメラとしても活躍しています。
手軽な撮影という点ではスマートフォンやアクションカムもおすすめですが、撮影中の設定変更など、操作性においてはビデオカメラが圧倒的に有利でしょう。
ビデオカメラの種類は大きく2つ
機能や価格により、ビデオカメラは大きく2つに分けられます。
1つは一般層向けのコンシューマーモデルであり、価格帯は5万円~20万円程度になっています。2つ目はプロ向けのハイエンド機であり、20万円~100万円程度と値段も高額です。
しかし単純に画質だけを比較した場合、一般向けのモデルでもプロ機に迫るものがあり、エントリーモデルでも4K動画の撮影が可能となっています。
プロ機はセンサーサイズも大きくレンズ交換可能なものもありますが、一般向けモデルにも高品質なレンズが使われており、光学性能ではアクションカムやスマートフォンを圧倒しているといってもよいでしょう。
ビデオカメラのメリット
どんなカメラでも万能ではないため、「ここで望遠機能があれば」や「一眼カメラのようなボケ感が欲しい」といったニーズは必ずあります。ビデオカメラを使うメリットは操作性や画質にあり、片手で扱える手軽な操作感でありながら、作品ともいえる質感のよい動画を撮影できる点です。特に望遠機能はビデオカメラならではのメリットであり、拡大率40倍や50倍の映像を光学ズームで撮影できるため、画質の劣化がありません。
アクションカムなどのコンパクトカメラは基本的にデジタルズームなので、拡大率を上げると画質は極端に下がってしまいます。デジタル一眼の場合は高倍率の光学ズームを利用できますが、適応レンズを持ち合わせていなければ撮影チャンスを逃してしまうでしょう。
運動会など、子どもの撮影にビデオカメラが最適といわれるのはこの点であり、徒競走であればスタート地点をズームし、徐々に広角映像に広げながらゴールで再度ズーム、といった撮影もできます。またビデオカメラは手持ち操作がしやすく、ズームや静止画撮影などよく使う機能は殆ど片手で操作できるようになっています。
さらにビデオカメラはボケ感も出せるため、ドラマチックな演出も可能です。
光学性能を十分に活かせるので、スマートフォンやアクションカムにはほぼ不可能な自然なボケ感を出し、ムードある動画に仕上がります。
ビデオカメラの選び方
全体的なデザインが似ているため、どのビデオカメラを選べばよいか分かりにくいと思います。迷ってしまう場合は撮影シーンや扱いやすさ、価格などを基準に選んでみてください。
扱いやすさについては見た目やスペックだけで判断できないため、店頭で実機を操作したり、レンタル可能であれば数日使ってみることをおすすめします。
撮影シーンで選ぶ
ビデオカメラが活躍する場面はさまざまですが、撮影シーンに応じて画質や手ブレ補正など求められる機能が違うため、何の性能が強化されているかに注目しておくとよいでしょう。
子どもをメインに撮影する場合、運動会であれば望遠ズームを活かせる機種がおすすめです。同じ望遠ズームでもデジタルズームと光学ズームでは画質が全く違うため、高倍率の光学ズームが使えると撮影の幅も広がります。屋外撮影が多い場合、天気のよい日は液晶画面が見づらくなるため、必ずファインダー付きのビデオカメラを選ぶようにしてください。
室内撮影で人物を撮影する場合には広角レンズやマイク性能が重要となります。
人物撮影でも被写体となる人物が離れている場合は望遠ズームが有利になりますが、室内等で撮影対象の人物との距離が近い場合は広角撮影できるレンズを使わないと一部しか写せません。広い範囲を撮影するためには28mm以下の焦点距離に対応したレンズがおすすめです。気に入ったビデオカメラが広角撮影に向いていない場合、ワイコン(ワイドコンバーター)の装着で撮影範囲を広げることもできるので、メーカーのアクセサリーも確認しておくとよいでしょう。
室内撮影ではマイク性能も重要であり、周辺の話声や環境音を拾いにくく、楽器などの音をクリアに録音できる機種が有利です。また、最近ではテレワークなど室内撮影にビデオカメラが活躍するシーンも増えています。閉め切った部屋では音が反響しやすいため、聞き取りづらい音声になる場合もあります。ビデオカメラによっては環境音やノイズのキャンセル機能があるので、録音性能にも注目しておいてください。
扱いやすさで選ぶ
ビデオカメラの種類はさまざまですが、ボタンなどの配置はある程度共通しているため、操作感に大きな違いはありません。扱いやすさを重視する場合は撮影時間や防水性能などに注目するとよいでしょう。
長時間撮影や旅行で使いたい場合にはバッテリーの持ちが重要となり、連続撮影時間はビデオカメラによって異なります。4KやフルHDなど画質にも左右されるため、メーカーサイトの仕様表で確認することをおすすめします。バッテリーのタイプによっても扱いやすさは異なり、電池残量が少ないときには、交換式のバッテリーパックだけでなくモバイルバッテリーから充電できるタイプもあります。さらにSDカードを2枚刺しできるダブルスロットタイプを選べば、安心して長時間撮影できるでしょう。
アウトドアで使用することが多い場合は、耐衝撃性や防塵性、防水性の高いビデオカメラを選ぶようにしてください。砂ぼこりや小雨が降る度にバッグに収納しているようでは扱いやすいビデオカメラといえず、撮影チャンスを逃してしまう可能性もあります。
扱いやすさでビデオカメラを選ぶ際にはテレビやPCとの連携も重要になります。
動画の形式にもよりますが、テレビの場合はSDカード挿入でそのまま再生できるタイプが便利ですし、HDMI端子があればさらに扱いやすくなるでしょう。PCやスマートフォンと連携する場合には、Wi-FiやUSBケーブルで転送できると手間がかかりません。USBの転送速度には規格があるため、なるべく最新規格(USB3.1など)を選んでおくとよいでしょう。
価格で選ぶ
一般層向けのビデオカメラは5万円~15万円程度の価格帯であり、4K動画に対応しているかどうかが価格に大きく影響しているようです。テレビやPCが4Kに対応していない場合はフルHDなどの機種を選ぶことになりますが、5万円~6万円程度でも機能はかなり充実しています。中には2万円代から購入できるビデオカメラもありますが、フルHDには殆どの機種が対応しているため、画質面で不満を感じることは少ないでしょう。
映像や音声品質を追求するとどうしても高額になってしまいますが、ビデオカメラ本体は低~中価格帯にしておき、アクセサリーを充実させるという選択肢もあります。付属品やアクセサリーが豊富であればさまざまな撮影スタイルを楽しめますし、録画から編集までの時間も効率化されます。また、同一メーカーの上位機種に買い替える際はそのまま流用できるものもあるので、トータルコストが安くなる場合もあります。
ただし、見た目は一般的なハンティタイプのビデオカメラでも、極端に価格の安いものは避けた方がよいでしょう。仕様表どおりの画質とは言い難いものや、USBやHDMIなどのインターフェースが充実しておらず、扱いにくい機種もあります。
おすすめのビデオカメラ3選
優秀なビデオカメラは国内ブランドに集中しており、海外でも高く評価されています。
特にパナソニック、ソニー、JVCはトップブランドであり、各社の強みを活かしたビデオカメラをリリースしています。それぞれのブランドからおすすめの機種を紹介しますので、購入を検討しておられる方はぜひ参考にしてください。
パナソニック HC-WZ590M
サブカメラによるワイプ撮影が特徴的なビデオカメラです。
上下左右に動かせるサブカメラを使えば撮影者の表情も録画できるため、親子の記録映像やペットと飼い主などユニークな映像になります。ナレーションモードを使用すると撮影者の声もクリアに録音できるため、スポーツ実況のような見ていて楽しい動画も撮れるでしょう。
動画は最大1920×1080ピクセルのフルハイビジョン対応であり、素早い動きや細かなディテールの再現にも優れています。顔や風景認識の便利機能や、多彩な撮影モードにより独創的な動画を撮影できますが、メインレンズの広角端は28mmであり、対応するワイコンもないためワイドな撮影で不便を感じるかもしれません。
本体機能のみで不要なシーンのカットもできるため、旅行先や外出先でもある程度の編集が可能であり、撮り終えた動画はUSB経由でPCなどに転送可能です。店頭価格は5万円代前半が相場となっていますが、機能面を考えるとかなりお得なビデオカメラといえます。
ソニー ハンディカム FDR-AX45
人気、シェアともにパナソニックと首位争いをしているのがソニーであり、アマチュアからプロ向けまで優れたビデオカメラをリリースしています。
FDR-AX45は4K動画に対応したビデオカメラであり、充実した基本性能のほか、空間光学手ブレ補正や高速オートフォーカスなど、強力な撮影アシスト機能を搭載しています。
レンズには高品質で描写力の高いカール・ツァイスのバリオ・ゾナーTを採用し、イメージセンサーや画像処理エンジンにもソニーの高度な技術が投入されています。
光学20倍、デジタル250倍とズーム機能は十分であり、26.8mmの広角端ではワイドな撮影も可能です。子どもの運動会など動きのある撮影の場合、ロックオンAF(オートフォーカス)によってピントが合い続けるため、被写体ブレのないくっきりとした映像になります。
5.1チャンネルのサラウンドマイクでは臨場感ある音声を録音でき、撮影者の声を拾いにくいボイスキャンセル機能や風切り音を抑えるノイズ低減機能など、サウンドに関しても拘りを感じるビデオカメラです。
専用アプリの「Imaging Edge Webcam」を使えばそのままWebカメラとして利用できるため、ペットなどの室内撮影はもちろんテレビ会議やライブ配信など、仕事や遊びにも活躍してくれるでしょう。
価格は9万円代後半とやや高めですが、通販サイトによってや9万円を切るところもあるようです。画質や音質を重視し、クオリティの高い動画を撮影したい方にはおすすめのビデオカメラです。
JVC GZ-RY980
タフ仕様のビデオカメラが欲しい方にはJVCの「GZ-RY980」がおすすめです。
耐久性に関しては他の機種を圧倒しており、水深5mまで対応する防水性のほか、防塵性や耐衝撃にも優れ、-10℃でも動作するタフなつくりです。
バッテリーも大容量なので、高精細な4K動画も約4.5時間の連続撮影ができ、モバイルバッテリーからの給電も可能です。テレビやPC、スマートフォンとの連携もスムースであり、Wi-FiやUSBケーブルでPCに接続すれば室内撮影しながらライブ中継といった使い方もできます。
GZ-RY980を購入した場合は「CyberLink PowerDirector 14」を無料で使えるため、高度な動画編集でも分かりやすい操作感で扱えます。家族や友人を驚かせるドラマチックな演出もできるでしょう。
まとめ
扱いやすさや画質を追求すると、もっとも有利なカメラは「ビデオカメラ」といえます。
液晶モニターは標準装備であり、デジタル一眼にはない快適な操作性も実現しています。しかも4Kにまで到達した高画質や、便利な機能が一昔前の半額以下で買えるため、コストパフォーマンスの面でも最強のアイテムです。