海や山、ドライブにも使える万能カメラといえばアクションカムです。
GoProの登場から大ヒットとなり、さまざまな場所に装着してハンズフリーで使えるため、用途の広さでは他のカメラを圧倒しています。屋外で使う印象の強いアクションカムですが、最近ではオンライン会議やライブ配信などに使われることも増えてきました。
ブームの立役者であるGoProは未だに人気ですが、他のメーカーからも優れたアクションカムがリリースされているため、初めて購入する方は少し迷ってしまうかもしれません。
今回はアクションカムの特徴やおすすめ機種を紹介しますので、購入を検討中の方はぜひ参考にしてください。
目次
アクションカムとは
体や自転車のハンドルなど、さまざまな場所に装着できるカメラが「アクションカム」です。
アクションカメラやウェアラブルカメラとも呼ばれますが、小型で軽量なため場所を取らず、耐久性にも優れているので幅広いシーンに活用できます。マウント(装着器具)の種類も豊富であり、バイク用のヘルメットやサーフボード、ペットに装着することも可能です。
一見するとアウトドア専用にも思えますが、最近ではテレワークやライブ配信用の映像機器としても注目されています。PC内臓のカメラに比べて画質がよく、向きも自由に決められる点が大きなメリットになっています。
ブームの火付け役はGoPro デジタルヒーロー3
アクションカムのブームは2007年頃から徐々に始まり、GoPro Digital HERO(デジタルヒーロー)3がその火付け役でした。GoPro自体は2005年に開発されていましたが、当時はまだフィルムカメラであり現在のモデルよりは大きなものでした。
その後、2007年に発売されたDigital HERO 3はビデオ撮影が可能であったことから、瞬く間に世界中で人気のアクションカムになっていきます。
日本国内ではGoPro HD HERO 3あたりから大ヒットとなり、カメラや動画に興味のなかった層にも受け入れられました。動画性能だけであれば他に優れたカメラは沢山ありましたが、さまざまな場所にマウントして使うといったアイデアがユニークだったんですね。
アクションカムは室内動画撮影にも活躍
屋外での撮影に本領発揮するアクションカムですが、室内動画撮影にも十分使えます。
もともと「屋外で動きながら撮る」が前提であり、室内動画撮影に向いている設計ではありませんでした。しかし最近のアクションカムは画質やレンズ性能も向上し、明るさが不十分な室内でも鮮明な動画を撮影できます。
またGoProをはじめ、アクションカム全体のネックに「広すぎる画角」がありました。ワイドな撮影ができるため屋外では威力を発揮しますが、室内撮影では「写したくないものまで入り込む」というデメリットになっていました。しかし最近のアクションカムには画角調整可能な機種もあるため、室内動画撮影のハンディキャップは殆どなく、アウトドアもインドアもこれ1本という方も増えています。
アクションカムの特徴
最近ではプロのビデオグラファーでも補助的な撮影機材にアクションカムを使うことがあり、タフなつくりや扱いやすさは高く評価されているようです。
堅牢性や使い勝手のよさはアクションカム最大の特徴なので、それぞれ詳しく解説します。
アクションカムはマウントが自由自在
他のカメラと違い、アクションカムには豊富なアクセサリーがあります。
特に多種多様なマウントはアクションカムならではの特徴であり、バイクのハンドルに取り付ければ臨場感あふれるライディング動画が撮れますし、自撮り棒を使えば旅行先のレポートムービーも手軽に撮影できます。
一方では固定カメラとして活用され、田畑を荒らす有害鳥獣の監視カメラや、外出中のペットの様子を録画するなど、定点観測用のカメラとしても使われています。
マウントの種類を挙げればキリがありませんが、アクションカムは「手持ちで撮影する」というカメラの概念を覆し、自由自在な撮影方法を実現しています。
タフなつくりもアクションカムの特徴
堅牢性や防水性の高さもアクションカムの特徴であり、少しラフに扱ったくらいではびくともしないタフなつくりです。
GoProに代表されるアクションカムの殆どは防水性能にも優れ、スキンダイビング程度であればアクションカム本体だけでも対応できます。専用ハウジング(防水ケース)に入れるとスキューバダイビングの限界深度である40mオーバーも可能であり、応用範囲の広さはあらゆるカメラの中でもトップクラスといえるでしょう。
しかも最近のアクションカムは4K動画も撮影可能であり、手ブレ補正などのアシスト機能も充実しています。1~2世代前のムービーカメラであれば、ここに挙げた機能を搭載するだけで10万円は超えると思われますが、アクションカムであれば3万円~6万円代で購入できます。
コストパフォーマンスのよさもアクションカムの魅力ですね。
代表的なアクションカム
アクションカムの代表選手といえばGoProですが、最新モデルはさらに機能が進化し、他のメーカーからも優れた機種が続々と登場しています。全てを紹介することはできないため、今回は「機能性」「品質」「ユニークさ」の3つにフォーカスし、それぞれの代表モデルを紹介します。
GoPro HERO9 Black
まずは機能性の代表として定番のGoProを紹介します。
GoPro HERO9 Black は1世代前のHERO8から更に進化し、両面に液晶ディスプレイを搭載した最新モデルです。
今までのGoProにも液晶ディスプレイはありましたが、正面側(レンズ側)は撮影モードやバッテリー残量を表示するモノクロ液晶でした。HERO9では撮影中の映像を両面に表示できるため、セルフィー(自撮り)撮影が扱いやすくなっています。
またGoPro初となるレンズ交換に対応し、別売りのHERO9 Black Max レンズモジュラーを装着すると155度のワイド映像を撮影できます。レンズモジュラーは広角撮影を可能にするだけではなく、水平ロック機能によってGoProを360度回転させても水平垂直をキープします。手ブレ補正にもかなり強いので、サーフィンやスノーボード、ランニングなどの撮影でも映像酔いしないスムースな動画になります。
画質もかなり向上しており、静止画では20MP(メガピクセル)、動画は5K画質に対応するため、撮影後のトリミングにも強く編集の幅が広がっています。マウントも20種類以上用意されていますが、汎用品も使えるため自由自在な動画撮影を楽しめるでしょう。
専用アプリを使えばWebカメラとしても使用でき、YouTube LiveやZoom、Google Meetなど13種類のツールと連携も可能です。
SONY アクションカム FDR-X3000
デザイン性に優れたソニーのフラッグシップモデルであり、品質の面では他の追随を許さないアクションカムです。
ソニーのお家芸が詰まったアクションカムでもあり、レンズには名門ZEISS(ツァイス)の 「テッサー F2.8」を使用し、十分な明るさを確保しつつ画像の周辺歪曲も低減しています。空間光学ブレ補正の機能はアクティブなシーンに強く、4K動画やハイスピード撮影でも滑らかな映像を実現するため、再生時にストレスを感じることはないでしょう。
さらに裏面照射型となるCMOSセンサーの「Exmor R」を搭載し、映像はノイズが少なく鮮やかであり、自然な色味となっています。
デジタルカメラの画質はレンズとセンサーに依るところが大きく、ソニーは知る人ぞ知るイメージセンサーのトップブランドです。他のカメラメーカーやiPhoneなどにもソニー製のイメージセンサーが採用されており、その実力は折り紙付きといえるでしょう。
またドイツの名門「カール・ツァイス」のテッサー(Tessar)は同社を代表するレンズの一つであり、他のアクションカムにはない贅沢なパーツが使われています。しかし価格は他のアクションカムと大差のない5万円代であり、コストパフォーマンスのよさも際立っています。
GoProほどではありませんがマウント用のアクセサリーも充実しており、他社製も含めると20パターン近くのマウントが可能です。テレビやスマートフォン、PCとの連携性も優れており、撮り終えた動画は直ぐにスマートフォンなどへWi-Fi転送し、そのままYoutubeやSNSへのアップロードも可能です。もちろん室内動画撮影にも十分な性能であり、ライブ配信やテレビ会議などにも活躍してくれます。
DJI POCKET 2
ジンバル付きのカメラとして注目されているのが「DJI POCKET 2」です。
アクションカム用のジンバルはさまざまなメーカーから発売されていますが、いずれも1万円~2万円が価格相場であり、アクセサリーとしては少々高価な部類に入ります。
しかしDJI POCKET 2はジンバルと一体になっており、コントローラーが自撮り棒を兼ねているため、「アクションカム+自撮り棒」の組み合わせよりもコンパクトなサイズになります。
GoProなど他社のアクションカムは本体のみポケットサイズですが、自撮り棒やヘッドマウントなど何かしらのアクセサリーを使うため、バッグに入れて持ち歩くことが殆どでしょう。しかしDJI POCKET 2は文字どおりポケットサイズなので、アウターの内ポケットなどに入れて持ち運び、サッと取り出して使うことができます。
他のアクションカムと比べ、撮影チャンスを逃しにくいカメラといえますね。
一般的なアクションカムは電子制御による手ブレ補正ですが、DJI POCKET 2はメカニカルジンバル(機械式ジンバル)を搭載しているため、昼間はもちろん暗所での手ブレ補正にかなり強くなっています。動画の解像度はフルHDから4Kまで3種類あり、スロー撮影やタイムラプスなどドラマチックな演出も可能です。
さらにDJI POCKET 2はマイク性能がかなり優れており、ザワザワとした環境音を拾いにくいため、再生時には人物の声がクリアに聴き取れます。屋外撮影でも十分に威力を発揮しますが、実は室内動画撮影にも有効です。車の排気音やエンジン音、エアコンの動作音などが気にならないので、Webカメラとしても十分に活用できるでしょう。
アクションカムは編集&管理ソフトも重要
不要なシーンのカットやタイトル付けなど、編集作業も動画撮影の楽しみですよね。
動画編集では付属アプリ(ソフトウェア)の操作性が重要なので、購入前にはアプリの使い勝手もチェックするようにしてください。中には再生用のプレーヤーしかなく、動画編集ソフトを別購入しなければならないものもあります。
動画もストックが増えると「これ、何の動画だったっけ?」と思い出せないことがあるので、管理用のアプリが付属している(またはダウンロードできる)アクションカムもおすすめです。GoProのようなメジャーブランドであれば各種アプリも日本語化されていますが、中には日本語非対応のアプリもあるので要注意です。
動画の品質やマウントの種類に目を奪われがちですが、アプリによるユーザーサポートもかなり重要です。アクションカム購入前にはメーカーサイトを調べ、同梱される内容をよく確認するようにしてください。
最近はCDやDVDのような物理メディアではなく、メーカーサイトからのダウンロード形式が主流なので、「ユーザーサポート」や「ダウンロードコンテンツ」などにアプリが登録されているかどうかもアクションカム選びのポイントになります。
まとめ
スポーツや旅行などに活躍するアクションカムですが、機能の進化によりインドア撮影に利用される機会も増えています。また、業界を牽引しているGoProとは違い、独自性をアピールした機種も登場しているので、自分流の撮影スタイルに合わせた選び方も可能になりました。インドア派に有利な機能もあるので、室内動画撮影でも十分に活躍してくれるでしょう。